書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

微笑みが私の心をじんわり満たしてくれる

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ある日のこと。

横断歩道を渡るとき、向こうからやってくる人に目が向かいました。

 

その方は、年齢にして80代でしょうか。美しい白髪に、鮮やかな青と紫のお召し物をまとったご婦人。

私は年齢を重ねるにしたがって、よりはっきりした色味をものを身に着けるのがいいと思っていて、そのお手本のような方でした。

なので、思わず視線を送ってしまったんですね。

 

すぐに、ちょっと足元がおぼつかないご様子に気づきました。

信号が変わるまで渡り切れるかしら、でも、だからといって、こちらが何がするには及ばなそうだし、なんて思っていたら、目が合って、にっこり微笑み返してくださったんです。

 

これはうれしい驚きでした。

というのも、いい/悪いではなく、日本では他人と目が合ったときに口角を上げる習慣がないでしょ。

なのに、もう穏やかな満面の笑みで。

(彼女は日本の方ではなかったのかもしれませんが)

こちらも思わず、にっこり。

 

たまに小さな子供や動物がご機嫌で私に近寄ってくることはあって、これもなんだかうれしい。

でも、大人がこんな風に満面の笑みを送ってくれることはなく(日本では、ね)、なんというのかなぁ、その方の佇まいが菩薩のようも見えて、包み込まれるような温かさがあって、こんなにもうれしいものなんですね。

その日、一日中、ものすごく満ち足りた心持ちで過ごせたもの。

今も思い出すと、ぽっと心に灯りが灯ったような気分になります。

 

 

微笑みの効果ってすごいですね。

口角を上げるのもそうだけれど、こういうの、本当に社会の潤滑油なんだなぁ。

Your smile makes my day!