「私の運命線」
少し前、私の人生が変わるほど影響を受けた雑誌があったかな?と思いを巡らせていた。
好き!な雑誌はたくさんあったけれど、決定打はなかった。
雑誌の世界の中に入ることはなく、傍観者だったのよね。
むしろ、映画や音楽の方がショックが大きく、
そのひとつが『気狂いピエロ』だな〜、なんて思った。
初めて観たのは、上京した18歳のとき、1987年だったと思う。
当時はまだ、東京には名画座が少なくなったとはいえ残っていて、
すぐにガツンとやられたのは『勝手にしやがれ』で、映画館を出たら見える景色が一変していた。
『気狂いピエロ』は、観た直後はよくわからなかった。
でも、時間が経って、ときどきフラッシュバックのように蘇ってくるのは、圧倒的に『気狂いピエロ』の方だった。
色、構図、(小説や詩、絵画などからの)引用、ファッション、政治、景色、音楽、観客への話しかけ、、、、、
コラージュ(今でいうサンプリング)というか、スクラップブックのような雑誌のような感触で、
映画のその世界に、気がつけばノックアウトされていたのだよ。
うれしい偶然もあって、20年前、イギリスに住んでいた頃に、
帰国する前にフランスを5〜6週間ぶらぶらしたときのこと。
時間はたっぷりあったので、本で見てどうにも魅かれた地中海の島、ポルクロル島に行った。
数年後知ったのだけれど、この島、『気狂いピエロ』のラストシーンのロケ地だったのよね。
あ〜、そうそう、あの光の感じ、あの海の感じ、土の感じ、松林(?)の感じ。