書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

1円ライターは1円ライターのままだよ

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これ、思わず私が言い放った言葉。

人と会っていて例の1円ライターに話題がのぼったときのこと。

bylines.news.yahoo.co.jp

どういうことか。

例えば、レストラン評論家になりたいとします。

でも、ファインダイニングは当然高いですよね。おまけにそれなりの恰好で行かないといけないし。

今はコンビニ食の味や品質はぐっとあがっていますよね、しかも安い。

 

じゃあ、コンビニ食を毎日のように食べている人が、レストラン評論家になれるかっていうと、一生かかってもなれない。

その人はコンビニ食評論家にはなれてもレストラン評論家には到底なれないんです、いくらコンビニ食を3食毎日食べてもね。

 

誤解のないように言っておきますよ。

今のコンビニの進化の速さ、時代の読み方は、本当にすばらしいと日々感じているし(私の場合、企画を考えるときにまずチェックするのはコンビニです)、レストラン評論家がコンビ二食評論家よりも上だとも思っていません。

でも、レストラン評論家がその対象とするファインダイニングという空間は、料理だけじゃない、サービスも飲み物もインテリアも外装もすべてにおいて総合的に高品質な食の空間を作り上げているところとでは、まったく土壌が違う、ということなんです。

レストランで食事をするってことは、コンビニ食よりもお金も時間もっとかかる、という意味で、より敷居が高い例としてピックアップしているに過ぎません。

(逆も真なりで、コンビニ食評論家になりたい人は、毎日のように販売される新商品を試さないといけない。それはファインダイニングをひたすら食べまくっている人にはできない。食への意識がまったく違うから、ってこと。)

 

 

1円ライターも同じことです。

ライターというのは、結果として書くという行為を行っているわけで、下調べ、取材、文章の構成などをはじめ、企画の意図を汲み取って文章に落とし込めるとか、締切りを守るとか、ビジネスコミュニケーションがちゃんと図れるとか、さまざまな能力が問われます。決して筆力じゃない。

 

ricorice.hatenablog.com

取材やさまざまな資料を咀嚼して、照合して、結論へ文章として導くのが仕事。

リライトに重きをおいたライティングとはわけが違います。

私はライターとして仕事を受けることもあれば、編集者、ディレクターとしてライターに仕事を発注することもあり、断言します。リライターはライターとはまったく別の職業であり、リライターにライターの仕事を発注することは皆無です(逆も同じ)。

 

 

じゃあ、レストラン評論家になるにはどうすればいいか、って。

まずはユーザーとして経験を積むこと。

1カ月毎日コンビニに使うお金を1回のファインダイニングでの食事代に充てればいい(それでも足りないかもだろうけれど)。

経験値があってはじめて、自分のなかで指標ができるわけで、それなくしてレストラン批評家にはなれないよ。

 

1円ライターから脱却してライターになりたいなら1円ライターの仕事をしないこと。

その分時間もお金も、本来やりたいことに投資すること。ライターは、目に見えない部分での投資、本を読むとか講座を受講するとか学校に行くとか、勉強もしっかりしてるよ、マジで。

 

お金がないから

本業があるから

それらはすべてすべて言い訳。

本気で今より上に行きたい人は、そのためにすることを、やっぱりちゃんとやってるんだよね〜。