外国語にも敬語は存在するし、人を見極める判断材料にも使われるし
ここのところ、続けざまに、
「結局、英語(外国語)は通じればいい」
という発言をする方々に遭遇しまして。。。
今ってそういう風潮なの? 学校教育もそうなの?
私の持論からは大きくかけ離れます、これ。
数日弾丸で、バックパッカー的な旅行に行くならそれでいいでしょう。
でも、ビジネスがからんだり、旅先でそれなりのところに行ったりするのであれば、
たとえ通訳を介するにしろ、挨拶程度はするわけで、
そこでていねいな言い方ができないと、
自分が損しちゃうよ、って思うのです。
増してや長めの滞在や暮らすとなると、ある程度整った言葉が使えないと、
それだと、いつまで経っても(必要以上に)下に見られるよ、って話。
日本語に置き換えるまでもないと思うのですが、
初対面の人に、「お茶はいかがですか?」と聞かれ、
「うん」って答えるかってこと。
「ありがとうございます。いただきます」って言うよね。
ファインダイニングに行って、
「あっ、2人ね」っていうかってこと。
「2人ですが、席はあいていますか?」って言うよね。
教育を受けておきながら、通じればどこへ行っても前者のようなカジュアルさでいい、っていうのは違うと思う。
イギリスでホームステイをしていたときのこと。
そこはミドルクラスの家庭で、幼稚園児がthank youとpleaseと徹底的に叩き込まれていて、
ほかでも何度か、この2つはマジックワードだから(潤滑油であり、心証もよくなる)、と言われ、
確かに住んでいると、そうだよなぁと深く感じ入ったんです。
私自身の経験としては、thank youはすんなり出るのだけれど、pleaseは慣れが必要だな、って感じました。
さらにpleaseを使って文章としてスムーズに使えるようになるのも、意識的にやる時期を経ないとむずかしかったですね。
お茶 → お茶ください → お茶をいただけますか
Tea → Tea please → Can I have a cup of tea, please?
という具合に、段階をふまえてていねいになります。
こういう構造、日本語も同じだと思うんですよ。
なので、語学教育を受けた以上、然るべき場では然るべき言い方をした方がいいわけで。
英語はストレートな表現ではないし、敬語や丁寧語もちゃんと存在する。
親しくなれば別だけれど、初対面では、使う言葉によってクラス(階級)や教育レベルもチェックされるから、むしろ手強いかもしれない。
それを、英語は日本語と違って単刀直入と言うのは、あまりに乱暴過ぎるよなぁ。
こういうの、聞くたびに、それてそれがまかり通っているかもしれない現在の風潮にすんごい違和感。
じゃあ、実際に敬語や丁寧語が使えるようになるための最速にして最短の方法はなにか、っていうと、
私は、1にも2にも文法だと思っています、ネイティブではなく、小さな子供でもない場合は。
結局、これって方程式で、例外はあるものの、
これに当てはめることで1を知って10を知るじゃないけれど、体系的な広がりができ、
応用がきくというもの。
イギリスでは、カフェなどで相席することはちょくちょくあり、
(別段スタッフがそうするわけではなく、お客同士が、ここあいてますか?みたいに聞き合う)、
それに端を発し、会話を交わすこともしばしばで、
「こちらのレディ(私のことね)と今、こんな話をしていたんだよ」
「どんな風にお感じになりましたか」
「さぞ素晴らしいんでしょうね」
「どうぞお持ちになってください」
と、もちろん客層にもよるけれど、初対面だからってこともあり、鼻白むほどのていねいさで話が進んだりする(もっともこれはイギリスだからかもしれない)。
で、ここで私がカジュアルな話しぶりをしていたら、そのレベルの人間と思われ、彼らはクラスが上になればなるほど相手に合わせてコミュニケーションをする、ってことに慣れているから、
「日本から来たの?」「ロンドンは楽しい?」レベルの話に終始する。
でもそれなりの話し方をすると
「最近は、クラウドファンディングでカフェをオープンするケースが多いんですよ。なんせロンドンは賃料が高いですからね」
「スペシャルティコーヒーの総本山はあの店ですよ。機会があったら行ってみられてはいかがでしょう」
みたいな突っ込んだ話ができる。
なので、適所に応じた話し方をするってことは、
自分を高くみせるため。というより、そういう人間として扱ってもらい、より掘り下げた話ができるから。
なので、決していつでもどこでもていねいであればいいってことじゃないですよ。
それは日本語でも同じですよね。
要は、場にふさわしい言葉使いが必要ってこと。
教育っていうのは、通じればいい、から踏み込んだものを与え与えられる機会だと思うんだけどな〜。