書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

厚みのあるものを作るってことは立体でものをみるってことなんだよね

f:id:ricorice:20180427083140j:plain

 

3冊の食書籍が同時進行でして(1冊は終わった!)、

それぞれ別のプロジェクトなので、すべてスタッフが、具体的には監修の方も、カメラマンさんも、ライターさんも、デザイナーさんも、ほかすべて違う方々とチームを組んで仕事をしています。

 

ということは、お3方(3組?)のデザイナーさんと仕事をするわけで、

ここでいうデザイナーとは、同じグラフィックでもエディトリアルと限定した方がいいでしょう。

あ〜、エディトリアルデザインって、立体だな、と感じるわけです。

 

それはページ数があって厚みがある、という物理的なこともあって、

ページを開いたときだけでなく、トータルでのデザインの統一性をもたせるとか。

 

これって、ポスターとか小冊子とか雑誌の数ページだけやっているグラフィックデザインとは

考え方が違う。

派手なのはグラフィックデザイン。目立ってなんぼだけれど、

エディトリアルの場合は、読みやすさ重視、流れるようにページがめくれる、ってことが大事で、

一見地味だけれど、工夫はいっぱい詰まっているんですよ(表紙は別だけどね)。

 

グラフィックデザイナーさんのなかにはエディトリアルデザインなんて簡単!って思っている人がいるけれど、

そういう人が手がけたエディトリアルデザインは読みやすさを考えていない、そして哲学がない、っていうのかなぁ、

表面をとりつくろうだけで、読みやすさとか見やすさは二の次三の次、

あちゃ〜っ!ってことが少なくない。

 

二次元でいいものが三次元でいいとは限らない、とつくづく感じるのです。

 

壁画を描くのと家を建てるのとでは違う、といえばいいのかな。

壁画は躍動性で突っ走れるけれど(本当は違うかもしれないけれど)、

家の場合は土台が大事。軸をしっかりさせないと何も始まらない。

土台を作るのは地味だけれど、しっかりしていないと元も子もないし、そこに知恵が詰まっているんだよなぁ。

 

厚みのある本って、まさに家を建てるようなもんだ、俯瞰で立体でものをみる、そこには論理的な視点が欠かせない、とつくづく感じたりするのです。