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食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

これでアジアの玄関口だなんて恥ずかしい!

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2016年も終わり、ということで、今年、別ブログ(このブログを開設する前から続けている、もうひとつのブログ(↓))でよく読まれた記事を再掲載します。

ricorice.exblog.jp※時制のみ、現在に調整していいます。

 
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(2016年4月12日(火))

 

ここ数年、ニュースでは連日のように、訪日外国人観光客の増加が報道されています。
私個人は、日本が観光地として人気が高くなったというよりも、先進国(なのかな?)にあって、びっくりするほどの物価の安さと治安のよさ、なんじゃないかなぁ、と思っています。
実際に、私の友人などは日本に来て、とにかく物価の安さに驚いていますし、イギリスに行って現地で話をするときに「日本だと£5もあればまともなランチが食べられるし、夜も£20あれば飲んで食べられる」というと、目を丸くされます。

それはさておき。
訪日外国人観光客の増加に伴い、誇れることや問題点が指摘されています。
誇れることは、治安のよさや公共交通機関などの時間の正確さがありますが、問題点は、というと、まあ、私自身、友達がやってきて案内するたびに、あまりのお粗末さに目を覆いたくなることしばしばでして。。。
ここでは、私の目を通した問題点を取り上げたいと思います。

1. もっとWi-Fiを!
スマホ時代になって随分経ち、それはつまりトラベルガイドはスマホでOKでもあるわけでして。
ということは、Wi-FIに接続できないと意味をなさないのですが、とにかくお粗末!
しかもあっても登録させたり、煩わしいことこの上ない。
なんでこんなにフリーでスムーズに接続できるところが少ないんだ?

2. クレジットカードが使えない!
ちょっと前時代的な考え方かも(そのうち電子マネーにとって代わられ、スマホで支払いになるだろうから)、ですが、とはいえ、クレジットカードが使えないところが多過ぎる!
以前、山陰のある旅館(そこそこの規模の立派なところです)の宿泊を考えていたとき、問い合わせたらカード支払いの意味を理解されなかった、という。。。(そして、そういうところに限って、浴衣が選べるとか、どーでもいいことを、あたかもサービス満載のように言う)

3. パスがパスの機能を果たさない!
たとえばJR Rail Pass。これ、ヨーロッパの鉄道に乗車できるユーロレイル・パスやイギリスの場合のブリットレイル・パスに該当するものですが、驚愕の事実に遭遇!
なんと、のぞみが使えない! 意味ないじゃん! 値段上げていいから、のぞみを使えるようにしてよ。
そして、JR東海だの、JR東日本だの、管轄が縦割りで、知らない人にとっては(日本人でさえ)どれもJRなんだよっ!
加えて、どれが速くて、どれが各駅停車かもわからない。
私自身、東海道・山陽新幹線しか把握してなくって、速いのは全国共通でのぞみ、中間がひかり、各駅停車がこだま、だと思って長野新幹線九州新幹線に乗ろうとするとまったく違って、そのたびに駅員さんに訊く始末。
ふわっとした愛称ではなく、それで端的に分かる特急とか各停をまずは前面に出してください!

もいっこ。
会社の枠(鉄道も地下鉄もバスも)をとっぱらって1日パスを作ってください。
この路線は東京メトロ、これは都営線とか、そこの会社の管轄でしか使えないなんて、利用する前にいちいち確認しなきゃなんないし、特に東京メトロ都営線なんてどうやってとっさに区別しろっていうの? 意味なし!

4. お飾りのガイドは不要!
なんとまあ、にっこりパーのガイドが多いことか。。。
あるとき、友人が温泉に行きたい!というので、私は温泉は苦手で詳しくないこともあり、
現在、私は福岡在住で、博多駅の観光案内に連れて行きました。
するとパンフレットを1枚渡して、別府があります、とだけ。
しかも日本語の案内だよ! まったくの役立たず!
そうかと思えば、免税の手続きではマニュアルを一方的にまくしたて、追い払う。
「何言ってるか分かんない。彼女にきいても答えはかえってこないだろうから、そのたびごとに確認することにする」と。
観光ガイドなんかもそうですよね〜。自分たちの時間割にひたすら従わせる。
人間が対応しながら、こんなに融通がきかないんだったら、紙や器械で十分じゃない?

あっ、ちなみに大阪駅(梅田駅)の観光案内のスタッフの方はすばらしかった!
会話のなかから、こちらが求めているものを察し、だったらここはおもしろいですよ、そのあと、ここに寄ってもいいんじゃないですか、と、マニュアルではなく、その場で考えてくれたプランを親切に教えてくださいました。
おかげで、連れて行った彼らは大満足!(期待はずれのところがあったのも含めて(笑))
感謝!感謝!です。
こーゆーのって、えてして言葉の問題だと捉えられ、そりゃ、できるにこしたことはないけれど、姿勢だよね〜。
個人経営の飲食店なんかは、言葉できなくても一生懸命に身振り手振りで説明するところがけっこうあって、それでいいわけだし。


端的に言うと、上記に示した現状って、その会社なりがこんなサービスやってます、を誇示したいがためだけであって、全然利用者視点じゃないんだよねぇ。

ふわっとした、おもてなし(これ、嫌い! よくあるおもてなしって、なんでもかんでも手取り足取りするでしょ。自分でできることはするから、必要なヘルプ だけで、ほっといてくれないかな。心底うざい!)じゃなくって、基本的なインフラの整備を優先する方がよっぽど有効だと思うんだけどなぁ。
そのときの基本はとにかくシンプル。
使う方もそうだけど、提供する方も結局その方がやりやすい、と思うんだけど。
ものごとを複雑にしていいことなんて、何もない、んだけどなぁ(手間と不要な仕事を増やすだけ)。
なにもオランダのスキポール空港のように、オランダ語表記をやめて英語だけにしろって、そこまでは言わない。
Ikeaの組み立て書のように言葉なくてもイラストですべてわかるようにしろとも言わない。
でも、スキポール空港Ikeaも目指しているのは世界の誰もがぱっと見でもわかるってこと、でそこに注力して欲しいと切に願うのです。


結局ね、物事を決める偉いさんたちは、旅行をしたことがないから、だと思う。
あるって反論されろうだけど、それはお膳立てされたもので、だから個人で動くときになにが必要で何が不便なのかわかんないんだろーな。
しかも団体さんで動くから、周囲を見ないんだろうし。
自分の頭と足を使って動いてみろっつーの。

そして、これが一番大きいとにらんでいるのが、異質なものを受け入れるのが、つくづく嫌いという精神性。
要は国全体でムラ社会なんだよね。
なんとなくの共同のバックグラウンドを有していると、いちいち説明する必要はないけれど、そうでない人が対象の場合は、ルールを提示しないといけない。
それが、面倒なんだと思う。
人間なんてどんなに親しくても分かり合えないわけだし、増してや異国からとなると、説明せずに理解しろ、ってのが土台無理なのは当然なんだけどなぁ。
このあたりの意識を変えない限り、表面をどんなにとり繕っても、意味ないんじゃない?


それと、現在私は福岡在住で、この土地ならではの超がっかり、を。
ここには、外国への空の玄関口として、福岡国際空港があります。
あまりのお粗末さに、今も口があんぐりしたまんま。
どういうことかっていうと、出国前の飲食店やショップの貧相さもさることながら、出国後はさらに輪をかけてお粗末。
1970年代の社会主義国の地方空港ってこんな感じ?(行ったことないけど)
いや、それ以下かも。。。

とにかく、全〜然っ楽しくないの! 
空港、に限らずターミナルってさすらっている気分と非日常と日常が交錯して、それがたまらないんだけど、そんな気配はまったくなし。
昔ながらのダサダサのショップや飲食店がとりあえず入っていて、その、とりあえず感がスゴイ!
これが旅行客にとって、最後の場所とは。なんと、まあ、かわいそうなことよ!
これで、福岡はアジアの玄関口とかなんとか言っているのは、悲劇を通り越して喜劇ですらあります(もしくは質の悪い冗談なのか?)。
恥ずかしいこと、この上ない!

 

これでアジアの玄関口だなんて恥ずかしい! : イギリスの食、イギリスの料理&菓子