書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

とびっきりおいしいベーグルを食べながら、頭をかすめたこと  

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3月下旬の飛行機利用は、移動の時期にもろ被りで、当然ほぼ満席。

 

22A。

私がとったのは窓際の席で、比較的早く搭乗したものの、後ろの3列はすでに友達同士とおぼしき若い女性たち。

楽しそうに談笑していて、ほほえましい。

 

旅行帰りかな。そうか、春休みだもんね。

 

そう思いながら、ジャケットを脱ぎ、シートベルトを締めようとすると、

「あの〜、そこ、私の席です」と、声をかけられる。

 

ありゃ、やっちゃった!

ごめんなさい!と改めて席を確認すると、後ろの彼女たちが座っている列の窓際が私の席。

 

あれ〜、すでに人がいるよ〜、ダブルブッキング?と思ったら、

彼女らもその気配を察し、自分たちの席を確認し始め、

A〜Cの並びではなく、B〜Dで通路をはさんだ3席だったことが判明。

 

席を移動しようとしたので、

「あっ、いいですよ。私がD席に座ります。そのままでどうぞ」と言うと、

「えっ、いいんですか?」と口々に。

近くにいたキャビンクルーの方もやって来ていて、

「窓際の席でなくてよろしいですか?」と訊いてきたので、

「いいですよ。(国内線なので)飛行時間も短いですし、今日は朝早かったので、ほとんどの時間寝ていると思いますから」。

 

キャビンクルーの方が行った後も、しきりに彼女たちが

「ありがとうございます!」と言うので、

「全然いいですよ」と。

それでも、「何かお礼を!」を言い始めるので、

「あっ、そう。じゃあ、なにかもらおうかな。なんてね(笑)。ほんと、気にしないでください」。

 

その後、3人で何やら話し始めたので、いったん終わり!と思いきや、

数分後、声をかけられ、

「あの、これ、よかったら食べてください」

と渡されたのは1個のベーグル。

 

多分、自分用か誰かのおみやげ用に買った中から取り出したんだろうな。

いやぁ〜、わざわざ、いいのに、と思ったけれど、なんとか気持ちを伝えたい、というのがひしひし伝わってきたので、遠慮せずにありがたくいただくことに。

 

搭乗前に食事をしていたこともあり、そのベーグルを飛行機の中では食べなかったけれど、降りるときに

「ベーグル、ありがとうございました。明日の朝ごはんにします」と声をかけると、

うれしそうな顔をして「ありがとうございました!」と3人が何度もペコリ。

 

翌日のブランチでおいしくいただきました。

ただトーストしただけだったけれど、それはとびっきりのおいしさ。

こういうの、うれしいね。

 

 

ただこのとき、キャビンクルーの方がその後、2度お礼を言いにきて、降りるときにもまたお礼を言われて、面喰らってしまった。

 

大げさだなぁ。

人命を救助したとか、そういう一大事を救ったのであれば、そういう態度でも不思議はないのだけれど、たかだか席を移った(譲った)だけですよ〜。

 

こういうの、よくあるし、席を変わってほしい人たちから声をかけられることもある(ひとり移動が多いので)。

特別なことではないと思うのだけれど、思い返せば国際線ではあっても国内線ではなかったかもなぁ。

 

う〜ん、こういうの、国内線では珍しいのかなぁ(日常的なことなら、わざわざキャビンクルーがお礼を3度も言わないでしょう)。

それとも、国内の航空会社のおもてなし(これってほんとに、ねぇ。積極的に疑問だわ)、というか、なのかなぁ。

 

それとも、大半の人は「そこ、私の席」って言うのかなぁ

(まあ、私だって、どうしても窓の外の景色が見たければ、そうしたとは思うけれど)。

 

 

とびっきりおいしいベーグルを食べながら、しばし考えてしまった私です。