書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

制作スタッフは生産者と同じ。どんどん顔出しすべし!

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自分の、自分だけの仕事を作りたいなぁ、そのためにはまずは自分の持っている情報をアウトプット、発信することだなぁ。

できるところから着手しようと、ブログの毎日更新をするようにしたのが2012年春。

それはイギリスの“現在進行形”の“リアル”な食情報(当ブログよりずっと長くやっています)。

ricorice.exblog.jp

それももちろん一部ではあるけれど、ノスタルジックなおほほほ〜な世界ばかりが取り沙汰されるのは、違う!と痛切に感じていたから。

 

当初、アクセス数とかあまり気にしていませんでした。

とにかく、今、自分ができることやろう!と。着地点も、どこをどう歩いているのかさえ見えていなかった。

でも、あるとき、情報がひとり歩きするようになったな、と感じるようになり、

それは月刊PV(アクセス数)が万単位になってから。

以降、アクセス解析も意識するようになりました。

 

情報がひとり歩き、というのは、

私という人間を知っていて訪問する、ではなく、最初から情報そのものにたどり着いて読まれているなという感覚。

それまで、お客さんひとりひとりの顔が見える小さなライブハウスだったのが、渋谷公会堂とか中野サンプラザとか東京厚生年金会館とかの規模の大きさのハコ(う〜ん、例えが古いなぁ)になった、というか。

すると誰が来ているのか、ひとりひとりをチェックできない、そういうことです。

 

 

そのとき、ひとつの決断をくだしました。

責任の所在を明らかにするのがいい。こういう人間が運営しています、というのをはっきり見せた方がいい。

そうすることが信頼につながり、自分もいい加減なことができなくなる。

 

それまでず〜っと裏方でやってきて、数多くの一流の方々を取材する機会にも恵まれ、

そのため表に出る意識はさらさらなく、自分はまだまだだなぁ、な気持ちだったけれど、

やるからには腹をくくらないと、次の段階、それが何かは分からなかったけれど、に移れないな、と思ったのです。

 

なので、そのときあてはなかったけれど、プロフィール写真を撮影し、

ブログをしていることを名刺やメールの自分の連絡先にも入れるようにしました。

 

その読みが正しかったのか、そういうタイミングだったのか。

ブログをきっかけに、ヴァージン アトランティック航空のコラム連載(テーマは“イングリッシュワイン”。日本撤退に伴い、サイトは閉鎖されましたが)や自著『イギリス菓子図鑑』の出版、講師などさまざまな機会を得ることができ、今に続いています。

 

 

今、情報がこんなに氾濫しているでしょう。

それを眺めていて、内容もだけれど、誰が発信しているのかがこれからより重要になるな、と感じています。

野菜とか工芸品とかに作り手が紹介されている、あれと一緒です。

誰がどんな思いで携わっているのか。

 

誰が、を手っ取り早く知らせる手段は顔出し。

クレジット表記よりも、格段に有効です。

受け手はへ〜っ、こういう人がやってるんだ〜、になるし、

伝える側は顔が出る以上きちんとしたものを、って意識になる(はず)だし。

 

裏方だからってうかうかしていられない。恥ずかしいとか言っていられない。

責任を負う、ってそういうことなのかなぁ、と自分の経験をふまえた上で、そう考えるのです。