書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

いっすよ! どんどんやっちゃってください!

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ある日、食事だけで万(円)はくだらないお店で、料理長がおっしゃったこと。

 

「数年前までは、お客さんが写メ撮るの、あまりいい気はしていなかったんです。

でも、今はむしろウェルカム。どんどん撮ってください、ですねぇ」

 

へぇ〜。

料理長は柔和で気さくな方ですが、決してカジュアルなお店ではない。

 

私自身は、いったん提供/公開したものはお客さん次第という考えで、

たとえば運営しているブログ。

数年前までは“無断転用・転載禁止”としていましたが(もいっこの方ね)、

ricorice.exblog.jp

そんなこと、公にした時点でもはや意味がない。

だってどんな状況下でもやる人はやるし、キーッとなるだけムダだ、と。

むしろ、いいことにしろ悪いことにしろ、がんがん使ってくださいよ〜

その代わり、使用料払うなりばっちり名前を出すなりしてくださいよ〜

必要なら協力するから連絡くださいよ〜

というスタンスなんですよね〜、今は。

(以前、営利目的、つまり企業の方から、あれもこれも無償提供しろ、かつクレジットは出さない、

 みたいなとんでも提案をされたときは、ていねいにお断りしましたけど、ね)

 

で、その料理長さん。

独立してしばらくは閑古鳥だった、らしい。

こぢんまりとした静かな店なので広告を打ってたくさんの方に来てもらうのも違うし、で

悶々としてらした時期に

あるお客さんが写真を撮ってブログにアップしたら、

それが口コミとなって広がって、お客さんが来るようになったんだとか。

だから、SNSバンザイ!だそうです。

今は、スマホのカメラ機能がよくなりアプリも充実して、ほんと、きれいに撮れるし撮ってくれるし、と。

 

ものごとには常に功罪があり、SNSも同じで、

とかくデメリットばかりが強調されがちですが

(これ、SNSってなんだ?な人の、わからないものは否定する姿勢だと思います)、

いいこともいっぱいあって、その好例ですねぇ。

 

悪口を書かれる、叩かれる、って声もあるし、実際そうだけど、

本当はそれって今に始まったことじゃなくって、

この時代でSNSがあるから可視化できるようになった、ってだけで。

もうここまでSNSが生活に入り込んでいる以上、

拒否するよりも受け入れて、そこでどうするかを考える方が

ずっと建設的で現実的だと思うんですよね〜。

 

私は仕事柄(イギリスの食研究)、イギリス、ロンドンに赴き、

そこそこのお店で食事をすることも少なくなく、

日本では仕事以外では実はあまりしないけれど(面倒だから(笑))。

イギリスでは仕事だから記録に残しとかなきゃ、で写真を撮ります。

 

一応、Would you mind if I took some pictures?(写真を撮ってもよろしいでしょうか?)

とごていねいにおうかがいを立てるのですが、

どこも快諾してくれ、中にはポーズを決めてくれる方もいらっしゃたり、

写真を撮るのに気を回してくださったり。

そこには、はいはい、どーぞどーぞ、みたいな素直な気持ちもあるのでしょうが

(私、ただのスタッフでオーナーじゃないから、どーでもいいわ、もそこにはある)、

その効果をよく知っているから、なんだろーなーとも思うのです、

先の料理長のように、ね。