書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

だからぁ、ライターの仕事の大半は書くことじゃないんだってば

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ライターにまつわる世間の大きな勘違い3つ。

 

・好きなことを書く

・自己表現できる

・書くのが仕事

 

すべて違いますっ!

 

・好きなことを書く

違います。

雑誌にしろ、ウェブにしろ、テーマが決まっています。テーマに即したものを客観性をもって書くのがライターの仕事です。

興味のあることで、かつ好きなことかもしれないけれど、好きな気持ちを書くわけではありません。

すし屋さんを取材することになり、それがお気に入りのお店だったとします。

好き! おいしい! 

と書くのはライターの仕事ではまったくなく、

どういう仕入れをしているのか、すし飯の特徴は、日本酒やワインを選ぶ基準

といった、テーマに沿った事柄を、誰もが理解しやすい客観的な事柄でもって、知りたい!と思う読者の代表として話を聞き出し、文字にするのが仕事です。

対象が好きなところであればあるほど、対象を突き放し、客観的であろうとします。

 

・自己表現できる

違います。

自分の作品を作っているわけではありません。

ライターは作家ではなく、調べる技術、聞き出す力、それを文字にする能力、といったものを売っているのです。

人となりが滲み出ることはあっても、自己表現ではありません。

記名原稿は、作品という意味合いではなく、この人が(こういう立ち位置で)書いたものです、ということ。

 

・書くのが仕事

違います。

書くことは全体の5%ぐらい、というのが私の感覚。

書く前の下調べ、取材、そのあとの校正など、とりわけ調べものには時間も労力もかかります。

ときに編集者的な仕事もまとめてする場合は、取材のアポ取りやスケジューリングといったデスク、マネジメント的な仕事もします(これも、また時間がかかる)。

 

 

な〜んか、世間一般のライターという仕事の認識が実際と大きくずれているのよねぇ。