書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

思いがけないところで出合ううれしいこと

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雑誌は、たとえ編集長でも1冊丸ごとひとりですることはありません。チームワームで特集やテーマによって何チームかで分担して行っています。

それが、書籍、となると、どちらかというと、少ない人数でがっぷり。実質、編集作業はひとり、ってことも少なくありません。

 

このひとりで淡々と進める書籍の仕事、お題をもらってやることもありますが、私の場合は、企画を持っていてそれを具現化したり、出版社さんとどんな本を作るか意見を出し合って決まったりすることの方が多い。

 

 

雑誌が短距離だとしたら、書籍は長距離の持久戦。

どんなに頑張ってフル回転でやっても3カ月はかかるし、なんせボリュームがあるので、なかなかに大変です。

 

どっぷり取りかかる分、思いも深い。

どの仕事も仕上がったときの感慨はあるのだけれど、雑誌がその瞬間を切り取るのに対し、書籍の場合は、とりわけ私が関わるものは長期スパンで見据えたもの。

そのせいか、刊行されて何年か経って、思わぬところで自分が携わった書籍に出合うことがあります。

 

 

それは、取材先。

私の場合は、食に関する仕事がメインなので、訪ねた飲食店や企業の本棚に自分が手がけた書籍を見るのはうれしい。

それにふせんが貼ってあったり、使い込まれたりすると、ますますうれしい。それってそれだけ読んでもらっているってことだから。

 

つい先日もそんなことがあったばかり。

しかも自分が企画を持ち込んだもの。

こういうの世の中にあるといいな、こういう本読みたいな、というところから企画はスタートするので、その自分の思いが世の中と一致、求められていたんだなと感じ、よかったなぁ、やった甲斐があったなぁ、としみじみ思うのです。