書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

帰れない故郷

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父、祖母、祖父のそれぞれの区切りのタイミングが合ったので、この4月にまとめてきっちり法事をやる予定でした。

が、新型コロナウイルスの影響を鑑みて、結局誰も帰省せず、お坊さんも「それがいいでしょう」ということで、母だけが対応ということに(動画配信してもらえばよかったな〜)。

 

仕方ないとはいえ、寂しそうな様子がうかがえたので、お盆は帰省しようと思っていたんですよね〜。

4月からは状況も変わり、今は、

「できる限り、気をつける。でも、どんなに防いでも防ぎようがないから、そのときはそのとき」という頭に、母も私もなっていて、

交通手段で使う飛行機などは、何かあったら大変だから、相当配慮がなされているだろうし、

帰省するつもりだったんですよね〜。

 

飛行場からの足をどうしようと同級生に連絡をとると、「帰省するの? 私は諦めてる。帰りたいよ〜」とのレスで、

私自身はあんまりそういう感情がないので、故郷って帰りたいもんなんだな、とどこか他人事。

 

が、数日後、「何かあったらときに面倒だから、やめよう」ということになりました。

自分がかかる分には仕方ないとはいえ、媒介者になるのはまずい。

自分がかかるよりも、こっちが嫌。

どんなに気をつけていても、可能性はゼロではないからなぁ。

わざわざトラブルの火種をまく必要はないし、どうしても帰省しなければいけないわけではないので、そうだな、ということに。

 

 

ちょうどそのとき、地元の大好きな洋菓子屋さんを紹介した記事を、知人がFBでシェアしていて、思わず「あっ!」と声をあげてしまいました。

特別に際立ったところのない、素直においしい街のお菓子屋さんだから、まさかそんな風に取り上げられるとは思ったことなくって。

 

そのお店について綴ったウェブ記事を読んでいて、企画全体の記事も読みたくなって、それもウェブでも読めるけれど、バックナンバーを購入。

 

 

そのお菓子屋さんの匂いとかお菓子とか味とか、店内に入ったときの様子とか、周辺の景色とかが、一気にどっと思い出されて、

同時に、本当に帰れないんだなぁ、ってことがズンと迫ってきました。

自主的に“帰らない”を選ぶのと、“帰れない”とでは、同じ帰省しないでも、心のあり方が変わるんだなぁ。

 

 

今は、取り寄せたバックナンバーやウェブ記事を眺めながら、束の間、帰省気分を味わっています。