書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

あ〜、残念! なんとも残念! 本当に残念!

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先日、まさか、まさかの日本初上陸で、意気揚々とチケットをとって出向いたのは、

山口市YCAM山口市情報芸術センター)。

www.ycam.jp

 

で、ここであったのは、マシュー・バーニーとジョナサン・ベプラーによる映画『River of Fundament』。

6時間もの映像オペラで、YCAMは音響設備がずば抜けていいので、極上の時間を過ごしたのでした。

www.riveroffundament.net

 

このYCAM、映像、音楽、ダンスなどメディア・テクノロジーを用いた新しい表現を軸にした、アートコンプレックスで、1階の半分は市立図書館になっていて、本を読むもよし。

artじゃなくてartsなんだなぁ、と思ってみたり。

 

YCAMへはたま〜に行くことがあり、山口中央公園という広い敷地の中にあることもあり、

ここにYCAM同様、唯一無二のおもしろい飲食スペースがあるといいのに、とずっと思っていました、が。。。

 

 

『River of Fundament』でYCAMを訪問して、びっくりしたのは、スターバックスのドライブスルーができていたこと。

超がっかり!

 

いえね、スターバックスは何ら悪くないんですよ。

私とて、もともと田舎の子ですから、全国展開しているものが地元にも欲しい、この心情は分かる。

 

でも、ロンドンに住み東京に住み、私の人生において大都市での生活の時間が長くなり、

かついろんなところに住むと、視点は大きく変わる。

地方再生とか地方活性化とかいいながら、

安易に(と私の目には映る)全国で知名度のあるチェーン店を持ってくるってどうなんだろう。

どうして、そこにあるものを、でもほかの土地にはなくって、なものをもっと掘り下げようとしないんだろう。

チェーン店っていくらそこの店限定を作ったとて、基本全国どこ行っても同じ。

それって何の魅力も感じないんだけどな。

 

全国展開しているチェーン店お断り!ぐらいの気概をもってそれをアピールする地域があってもいいと思う。

そこならでは食材、そこでしか食べられないメニューを提供する飲食店を、それこそ自治体も力を入れてやればいいのに(でも、やるなら、変に迎合した中途半端はやるなよ!)。

うちには、○○も○○も○○もないけれど、でも△△っていうほかのどこにもない素晴らしい店があるんだ!って胸を張れるような、ね。

そもそも行き来がしやすくなっていて、店がなくても人は移動するので、どこででもありつけるものをわざわざ持って来ても、ねぇ。

 

 

もいっこ、こういう時代だよなぁ、と思ったのが、

近くにいた20代とおぼしき地元カップルが

「今、スターバックスって、顧客満足度低いんだよね〜」と詳細を話していたこと。

だからといって、どんなものか見てやろうか、といった嫌みな感じではなく、コーヒーでも飲もうか〜、という実に淡々としたものだったけれど。

そうだよねぇ、今の受け止め方ってフラットなんだと思う。

 

エリアが誘致したのかスターバックス自らが来たのかはわからないけれど、

情報はすでに知れ渡っていて(主にネット経由でしょう)、

今さらスターバックスをありがたがらない、んだよねぇ。

いいも悪いも可視化できちゃうからね。

 

だから、付和雷同的にこういうのを無条件にありがたがるって、もう今の感覚ではない気がする。

受け身じゃなくって攻めてみてよ。

このあたりの認識のズレも感じたりしたのでした。

 

 

せっかく唯一無二ともいえるアートコンプレックスがあるのに、

直近の飲食スポットがスターバックスという、どこにでもあるお店ってのは、

なんとも残念! がっかりしたこと、この上ない! あ〜あ!