書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

知ってた? 「ください」と「下さい」は違うってこと

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文章を書くときに、漢字かひらがなかカタカナか、迷うことは多いもの。

あえて使い分けをすることもありますが、実はルールとして決まっているものがあります。

 

漢字とひらがなの使い分けが明確なもののひとつが

「下さい」と「ください」。

 

例をみてみましょう。

 

  1. コーヒーを下さい。
  2. コーヒーをお飲みください。

 

1も2も正しい使い方です。

違いはわかりますか?

 

1の“下さい”は“くれ”の丁寧表現。“くれ”“下さい”だけで動詞となる言葉(実質動詞と呼びます)は

“下さい”

と漢字をを使います。

 

一方の2は“飲む”の動詞にくっつけて尊敬・丁寧表現する言葉(補助動詞と呼びます)。この場合は、

“ください”

とひらがなをを使います。

 

 

英語にするとわかりやすい。

1の“下さい”は“give”

2の“ください”は“please”

 

 

これ、文部省用字用語例によって定められています。

 

ただ、ですね、必ずしもいつも従う必要はない、と私は考えています。

言葉は時代によって変わりますし、状況によってふさわしい言葉を使えばいいと思っているからです。

 

たとえば、あらかじめ文字数が決まっているときや行を分けて文字数を揃えたいとき。

 

コーヒーを

下さい。

 

だと、まのびしちゃいますよね。

 

コーヒーを

ください。

 

の方が見た目の収まりがいい。

また、ウェブなど横書きだと、漢字よりもひらがなの方が見た目の相性がよかったりもします。

 

 

実は目につくのは、2.のpleaseの意味で、

コーヒーをお飲み下さい。

と漢字を使うケース。

こっちは、よっぽどのことがない限り(文字数制限があるとか)、

ください

とひらがなのルールに従うのがいい、というのが私の感覚です。

 

 

こういうのは知っていても/いなくても、かもしれませんが、自分がどうこうよりも受け止める方がどう感じるかが大事なので(何事もそうですね)、頭の片隅にとどめておくといいですよ。