人って10言って1か2伝わればいい、3伝われば上等!
私の基本的な考え方は
“人はわかり合えない”
ってことです。
人の気持ちになって、とはよく言われること。想像力を働かせればある程度まではたどり着けます。
でも完璧に、なんて土台無理だし、それを“分かった”気になるのはおこがましいと思うのです。
努力すれば分かりあえる、分かりあえることを前提とするのは、欺瞞じゃないかって思うんですよね。
じゃあ、伝えることをしなければいいのか、というと、そこは逆。
“言ってもわからないかもしれないけれど、言わなければもっと分からない”から。
これ、伝える方が説明不足なわけでも、受ける方の理解力がないわけでもなく、そもそも同じことを同じように捉えていない、ってことなんです。
だからズレが生じるのは当然のこと。
なんてことをぼんやりと感じていたのを、しっかり意識するようになったのは、25歳ぐらいのとき以降。
なぜかっていうと、当時、書籍などを作る編集プロダクションにいて、自分が実質編集長という立場で仕事をするようになったから。
ライターにしろ、カメラマンにしろ、デザイナーにしろ、常にディレクションするのが仕事なわけです。
今もそうですが、自分が船頭のときは、割と細かく指示を出す方だと思います。
なぜかっていうと、どんなにきちんと説明しないと(しても)100%伝わるなんてことはありえない。だからこそ、しっかり伝える。
でも、もちろん伝わらないこともあります。
そんなときは、他人に対して必要以上の期待値を抱いていないので、こんなもんかな、ってところです。
もうひとつ。
私が割と細かく指示を出すのは、お願いしたとおりにやって欲しい、ということではなく、方向性を明らかにしたいから。
その核さえぶれていなければ、あとはその人の解釈でやってもらっていいとも考えています。
もしかしたら、自分では考え及ばなかった、おっ、ってものがあがってくるかも。だからこそ、プロに発注するわけでもあるのです。
いい意味で、期待を裏切られるって、うれしいもんですよ。