“おいしい”を伝えるには“おいしい”と言わない
感情を言葉で伝えるのに、思ったことではなく、情景や客観的事実で記す方が、よっぽど共感しやすい、って話。
たとえば、おいしい。
おみやげにいただいた漬物がとてもおいしかったとします。
「おいしいお漬物を食べました」「いただいたお漬物がとてもおいしかった」と綴りがち。
でも、おいしい、ってのは個人的な嗜好であり、また、どうおいしかったのは、おいしい、という言葉からはぼんやりしていてわからないんです。
これだとどうでしょう。
「おみやげでもらったお漬物。これだけで、思わずご飯三膳いっちゃいました」
「普段はお漬物は好んで食べないのだけれど、これは別。箸がすすむこと!すすむこと!」
おいしい、を使わなくっても、おいしさがより具体的に伝わってきませんか。
これがフランス料理だと、
「ソースも残らずパンでしっかりすくって、食べ終わった時にはすっかりお皿がきれいに」
とかね。
もちろん、おいしい!という言葉に置き換えることができない場合もあります。
あまりやり過ぎると、嫌みな文章になることもあります。
でも、たいていの場合は、おいしい、という気持ちではなく、おいしい、状況を綴る方がよっぽど効果的。
これ、むずかしいことではありません。
そのとき、自分がどういう行動をしたか、どういう情景だったかを綴ればいいんです。
“おいしい”に対して、そのときの自分の中に沸き起こった感情ではなく、外から見たらどうだったかを一歩引いて、そのありのままを書けばいい。素直に記せば、それでいいんです。
(技巧に走った文章は鼻について、うげ〜ってなります)
こうして、情景や客観的事実で書くと、その文章がよりいきいきとしてきて、読んでいる人がその立場に立ちやすく、そうして感情が伝わるってもの。
ブログなどに投稿するときの文章の書き方についてご相談を受けることがあるので、そのひとつを紹介してみました。