書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

大事なのは最初に線引きをすること

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私のプロフィールのひとつに、イギリスの食研究家があります。

これは、イギリスのレシピをひもといたり、食情報を提供したり。具体的には、イギリスの食に関してメディアに寄稿したり監修をしたり、イベントや講座、講義で講師をつとめたりしています。

 

仕事とはかけ離れたところで、頭を抱える質問を受けることがあります。

・ ロンドンのおすすめのレストランはどこですか?

・ 家族でイギリスに旅行に行くんですけど、どこに泊まればいいですか?

・ 今度友達がロンドンに引っ越すんですけど、どこに住んだらいいですか?

といったざっくりとした類のもの。しかも私、その人たちのこと知らないし(そう、ほとんど面識のない人が訊いてくるのです)、ましてやその人たちの知り合いとなれば、言わずもがな。

それに、なぜ、人に聞く前に、ネットで調べるなり、トラベルガイドを読むなりしないのかな? 謎です。

これ、私、“ちょうだい”攻撃と呼んでいます。

 

なぜなら、

・私がパン屋さんだったらパンちょうだい、って言うのかな?

・私が靴屋さんだったら靴ちょうだい、って言うのかな?

・私が銀行員だったらお金ちょうだい、って言うのかな?

って思うから。

 

パン屋さんだって業界内の知り合いとは情報や商品のやりとりはするし、おなじみさんには新商品を試食してみて、って渡すことはあるかもしれない。

でも、対一般のお客さんに対しては、パンを与えることで、その対価として金額を受け取る。

私なんぞ、イギリスの食にしろ、マスメディアの仕事にしろ、情報発信サポートにしろ、いずれにしろ情報を扱っていて、それに対して何かを求めるのであれば、対価は発生するのです。

 

 

以前、お世話になっている方を介して、イギリスをテーマにした○○○○を扱うショップをこれから開店したいという人に、お目にかかる機会がたまたまありました。

そのとき、あら、イギリスという共通項ができてちょうどよかったわね、という形で紹介され、嫌な予感がしたのですが、果たして的中。しばらくして

「渡英の際は一緒に」

という言葉が送られてきました。

 

私の経験上、こういう方は、

・私、英語できないんです → 通訳お願いしますね

・航空券ってどうとればいいんですか? → 私の分もとってください

・どこに行けばいいですかね? → 私が仕事で行くべきところをリストアップしてアテンドしてください

が言外に含まれているといってほぼ外れはなく、しかもそれを無料だと思っている!ということです。

これも、私、“ちょうだい”攻撃と呼んでいます。

しかも、一言、寄り添うようなことを言うと、“ちょうだい”攻撃を加速させちゃうんですよね、経験上。

なので、今では、最初にバシッと線引きをすることにしていますし、そうお伝えもします。

 

 

情報やサービスなど、目に見えないものを扱うことを生業をしていらっしゃる方々は、同じような悩みを抱えてらっしゃると思います。

なので、私の場合をケーススタディとして開示してみました。