書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

不意打ちのうれしさと照れくささと

 

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出先で時間が中途半端にあくときは、戻らずに

お茶したり(&本を読んだり、仕事をしたり)、気になる店に行ったり、買い物/買い出しをしたり、そして本屋さんをブラウズしたりしています。

 

本屋さんでは、こういう新刊が出たんだな、とか、こういう本が売れてるのか、とか、コーナー問わずできるだけぶらぶらするようにしていて、これがいろんな発見、そうだろうなーって思ったいたことが確信に変わったり、自分がまったく気づいていなかったことを知ったり、とても楽しい。

河岸が変われば状況も変わるってのもおもしろい。

 

それ関連の仕事が多いので、食関連の書籍のコーナーも眺めるのですが、

そこで、著者としても仕事をした『イギリス菓子図鑑』、そしてこの本がきっかけでシリーズ化となり、『イギリス菓子図鑑』に続き私がダイレクションを務めた『ドイツ菓子図鑑』『ポルトガル菓子図鑑』が並べておいてあって、

制作サイドとして、まず自分が関わったものが書店に並んでいるのは、素直にうれしい。

回転が速く、売れないものは早々に撤退を余儀なく書籍のなかで、発刊からある程度の期間が過ぎてもおいてある、ってのもうれしい。

 

そして、国別の区分けではなく、食文化(その書店では“お菓子読み物”)、といった区分けでおいてもらえているのもうれしい。

というのも、理解を深めてもらいたくってレシピも入れていますがレシピ本ではなく、地べたの食文化に触れた本を作りたかったので。

私の場合は、自分が関わった本がまとめて、ってのも感慨深い。

 

 

私だけかもしれませんが、本の制作が終わった直後に書店やオンラインに並んでいるのを見たときって、あ〜、無事出せたな〜、とは思うけれど、本の制作は長丁場で関わる時間が長く、もぬけの殻みたいになっていて、感情があまり残っていないんですよね〜。

うれしい、という気持ちはもちろんあるけれど、興奮状態は制作時の方がすごくって(厳密には、ハイパーでありつつ、えらく冷静な2つの心理状態を同時に抱えているのです)、手が離れたらチルアウトしていて、発売されてすぐはまだその中にいる、って感じ。

 

じわじわ喜びやうれしさがくるのは(照れくささもつきまとうけど)、ずっとあとで、ようやく落ち着いたときに、こうやって書店で並んだり、紹介してくれたりするのを見たとき、かな。

こういうのって、予期せぬ不意打ちでやって来る。ときどき、こういうご褒美みたいなことが起こる。

 

 

企画は世の中に欲しがっている人がいるだろう、という仮説から始まり、その仮説がちゃんと証明されたようで、安心したりもするのです。