書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

取材前に原稿は8割できている

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私自身は着手はしないものの、その感覚はよくわかる。

 

編集・ライターの仕事もしている方が、取材前に原稿は書き終えている、と。

 

私自身は原稿に着手こそしないものの、下調べをして、媒体や企画に沿った内容はこのあたりかな〜、という目星をつけて取材に臨みます。

なので、取材で行うのは確認作業。

既出の情報から刷新されている場合もあるし、思わぬ掘り出し物の話が聞けることもある。

これをすでに自分が獲得している情報に上書きし、文字化するというやり方です

 

私の場合は脳内で、先の方は実際に、の違いはあるけれど、共通しているのは取材前にあらかた原稿が終わっている、ということ。

 

 

取材の際は、下調べをしているので、知っている話がほとんど。

確認作業で終わればそれはそれで、

入手できていなかったところで、おっ!と思う話が拾えたら、ライター冥利に尽きる、というね

(でも、その話を引き出すには、下調べをせずに行って1から話を聞いていたら辿り着けないのは明白です)

 

取材は対面で、相手との会話のキャッチボールで行うので、「あれもこれも知っています」だと話が弾まない。

なので、知らないふりをして話を引き出し、そこからききたいことをさらに掘り下げたりもします。

駆け引きが必要になるんですよね。

 

以前、ライターという立ち位置で仕事をした際、取材に編集の方が立ち合ったときに、

「そうですよね」が続いたので、「そうなんですか? それについて教えてください」と言ったら、

編集の人が説明し始めて、驚きました。

 

その場合の編集者の正しい態度は、黙って様子をみるか、一緒に、もしくはちょっと角度を変えて質問をすることです。

 

それをしないで、自分の知識を披露し始めた、ってことは、

取材対象者との親密性を示したいのか、ご本人は下調べをせずに素のままで取材に行っている、という表れ。

 

わかっている編集者なら、知らないフリをしていることは、そのときのライターの言動で理解できるもの。

判断できなかったとしても、自ら回答するなんて、ありえない。

自分が編集者として、ライターさんを立てて立ち会うときも、そのあたりは敏感に察知しながら、ですから¥。

 

 

下調べしすぎない、さじ加減が必要なこともあるけれど、ライターの仕事は下調べがおおいに必要なのよ。