書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

フィードバックしてもらえるありがたさ

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メディアに関わらず、でしょうが、人の紹介で仕事を紹介してもらったり紹介したり、ということは多い。

私の場合は、いわゆる営業らしい営業をしたことがなくって、紹介がほとんど、だなぁ。

 

ある日、ライターを探している、ということで出版社の方にお目にかかったときのこと。

「原稿を手直ししてもいいですか」と念を押されて、びっくりしたことがあります。

 

もちろん、OK!

プロジェクトの裁量を任されて私が発注するときも手直しをするから。

それは、企画や媒体に沿った文体や表現にするため。

商業ライターはアーティストじゃない、自分の作品を作るわけじゃない。

読者やユーザーを見据えて、企画や媒体に沿った原稿を書くことこそが仕事ですから。

 

ウェブと紙媒体とではそもそもの書き方が大きく異なりますし、

さらに企画や媒体によって、キリッとした言い方にするかやわらかく話しかけるようにするか、

改行や改段落のタイミング、言葉使い(ひらがな/カタカナ/漢字、お客なのか客なのかお客さまなのかetc)など、細やかな方向性があります。

 

なので、新しい仕事の場合は、あらかじめマニュアルがあればもらいますし、過去のその企画や媒体のテキストを参考にして、さじ加減を調整するわけですが、なかなかピシッと確信できず、「このくらいかな」と探り探り。

原稿を書くこと自体は、もう長いことやっているせいもあって時間はそんなにかからないのだけれど、事実関係の確認とか、文体の調整は時間がかかります。

 

 

自分が発注する立場なのでよくわかるのですが、一過性の案件の場合は、いちいちフィードバックしない。

継続性のある場合は、こうして欲しい、ということを気づいたときごとだったり、まとめてだったりで伝えます。

 

先日、これから付き合いが長くなりそうだから、本来はお見せするものではないんだれど、と提出した原稿に編集部が入れた朱字をいただきました。

 

これ、すごくありがたい!

 

表現のさじ加減って、ほんと微妙なところなんですよね。いつも迷う。

それが、朱字を見れば、編集サイドが何を求めているか端的にわかるのです。

 

言い回しが気にくわない、趣旨と違う(受け手の問題もありますが、ほとんどは発注ミスだと私は捉えています)、という理不尽な朱字ではなく、

企画や媒体に沿った表現をするための朱字を戻してもらえたのは、

信頼も期待もされているからでしょうから、

朱字を手元において、求められていることを理解して、次回から原稿を納めたいと考えています。