書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

恵方巻きとロールケーキ

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時期が近づき、今年も物議を醸していますねぇ、恵方巻き。

この恵方巻きの文字を眺めて、普段う〜む、と感じていることが寄せては返す状況です。

 

スポンジケーキに生クリームや果物などをフィリングにくるっと巻いたものを

ロールケーキ

と言いますよね。

 

ここまでは、別段どおってことないのですが、

これをアルファベット表記にして、

roll cake
としているケースが、なんと多いことか!

そして、それを見るたびにモヤモヤが沸き起こるのです。

 

直訳すると、

“巻きケーキ”

 

なんじゃそりゃ。

モノを見れば通じなくはないだろうけど、不思議な感覚を引き起こします。

 

なぜなら、“roll”は動詞だと“巻く”だし、名詞だと“巻いたもの” “巻き”なので、

英語に置き換えるとすれば、

“(sponge) cake roll(スポンジケーキを巻いたもの/スポンジケーキ巻き)”

“rolled cake(巻いたケーキ)”

としないと具合が悪い。

 

実際にイギリスでこの手の巻いたケーキをどう呼ぶか、っていうと、

“swiss roll”

“roulade(語源はフランス語。巻いたもの、の意味で、名詞の“roll”と同じ)”

(一般に“(sponge) cake roll”とはあまり言わない。説明っぽく響くから、かな?)

 

 

スイス・ロールはシンプルにジャムとはクリームを巻いたタイプで、

これがチョコレート味なら、“chocolate swiss roll”になるといた具合。

そして、これを基本に、フィリングなどの特徴を打ち出したいときは、

“swiss roll with strawberry and cream(イチゴとクリームのスイスロール)”

と表現することが多い。

 

“roulade”はポッシュな感じ。

フランスパン(イギリスではフレンチスティック)ではなくバゲットと呼ぶのと感覚が近いか、と。

 

 

どうでもいい! 通じればいい!という声もあり、

日本人だけを相手にお飾りでアルファベット表記する分にはそれでいいのでしょうが

(だったらアルファベット表記をしない方が却っていいのでは、って気がします)、

私自身は、こういう表記に気を配っているお店やメーカーを見ると、信頼できるなぁ、と感じ、

ひとつの指針にしています。