書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

ワンクッション、言葉を発するだけで世界は変わる

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うっかりオフ/マナーモードにするのを忘れていて、

ロンドンの美術館でスマホが鳴ったときがありました。

とりあえず電話に出なきゃ、みたいな相手だったので、

通話ゾーンを目で探しながら移動していると、

目が合ったスタッフさんがにっこりして

「あっちですよ」と指で合図。

お礼とお詫びを兼ねてペコッとして移動。

 

日本の美術館で、おっと、思ったことをメモしようとボールペンを取り出すと、

係員が慌ててとんできて「ボールペンの使用はおやめください!」と叱責。

チューインガムを捨てるのを忘れて噛みながら、鑑賞していたら、

やっぱり係員がとんできて「チューインガムはおやめください!」と叱責。

 

ダメな理由はわかるんだけど、でもこちらが意図的でないのは見ていてわかると思うんだけれど、

なんでいきなり居丈高な物言いをするのかな?

軽くやんわりと「差し控えてくださいね」と言ってくれればいいのに。

怒鳴りつけるような態度は、そのときにいうことを聞かなかったときに発動すればいいわけで、

いきなり、じゃないでしょ。

 

自分たちが権威だと言わんばかりに、ガチガチの、あれはダメ、これはダメ、を押し付けられると、

美術館とか博物館に行くのが、楽しいことでなくなる。

 

 

さらに、叱責するとき、そこにある態度は、

美術品を大事にしたい、とか、ほかの来館者に気持ちよく過ごして欲しい、ではなく、

何か起こったときに責任を取りたくない、が先に来ているように思えるんですよね〜。

 

 

自分が思うとおりにならないと、勝手に怒る人いるでしょ。

空気を読まない、とか、察しが悪い、とか。

気づいていないことも多いだろうから、

ひと言、こうして欲しい、って言えばいいのに。

思い違いってこともあるだろうし、そうすれば激高することも減るんじゃないのかなぁ。

 

 

ワンクッション、言葉を発するだけで違ってくることもたくさんあるよ、って話。