書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

プリンはpuddingにあらず

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「プロの翻訳に出したけれど、どうも怪しい気がする。

チェックしてもらえないか」という依頼を受けました。

 

それはメニューの英語翻訳で、確かにひどい!

街中にインチキな英語表現があふれている理由のひとつを見た気がしました。

 

たとえば、プリン。

これをpuddingとしてあって、明らかに違います。

puddingとは何かの説明をここではしませんが(長くなる。。。)、

プリンはcaramel custardもしくはcrème caramelとするのがいちばん近い。

 

こういったことが散りばめてありまして、

いやぁ〜、大丈夫かいな!

 

 

経緯としては、グーグル翻訳でちょろっとできるだろうと思ったら、そうは問屋が卸さず、

プロの翻訳に出したらしいのですが、あがってきたものが???でこちらに回ってきた次第。

 

・質は金額に比例する

・単に言葉をおきかえればいいという頭で資料を渡していない(これ、大きな間違い。翻訳は意味を置き換えること。なので企画概要を知らせたり、打ち合わせをしたりする必要がある)

 

さらっと聞いたところだと、両方、らしい。

 

 

いつも不思議なのは、自分ができないのに、グーグル翻訳もまだまだだと思っているのに、

その理由は単に言葉を置き換えればいいから、ってことではないのは明白なのに、

アウトソーシングする時は“簡単なこと”に置き換えられるってこと。

ほかの国の言葉を操ることをおそろしく安く見積もるってこと。

(あなたができないから、周囲にもそういう人材がいないから、依頼するんですよね?

 ってことは対価として、それ相当の支払いをして然るべきですよね?)

 

翻訳/通訳は、外国語および日本語の能力が同時に備わっていないとできないし、

専門用語は勉強する必要がある。

ただ単に、Helloが言えます、レベルでは到底できないわけで。

住むだけで言語が操れるようになるわけではないしね〜(文法めちゃめちゃ、とりあえず意味が通じればいいでしょ、なら話は別)。

 

 

こうやって、英語ユーザーを蚊帳の外に押しやった、一見英語っぽいなんちゃって表現が、そしてそれをお金がかかるを理由にチェックしないまま世に出す、って循環がこれからも蔓延するんだろーなー。

まあいいや、とりあえずで作ると、こんな雑な仕事しちゃってその程度のところか、って、結局評価を大きく下げるのに、そのことに気づかないのかな。