書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

観客はそんなにバカじゃない!

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2018年、ギャリー・オールドマンがアカデミー主演男優賞を獲得した『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、

日本では、昨年2017年末公開された『否定と肯定』、

どちらも第二次世界大戦ナチスにふれた作品だけれど、

これらの日本語タイトルが、あまりにひどい!

 

そう感じるのは私だけでしょうか。

 

オリジナルタイトルはそれぞれ、

『Darkest Hour』であり、

『Denial』。

 

漆黒のとき

現実から目を背ける、ということ( → 歴史認識とは何か)

 

で、日本語タイトルよりもっともっと重い心理状態を表しています。

直訳する必要はないけれど、これらのタイトルに映画の内容が凝縮されていて、

それと比較するとあまりにお気軽じゃない?

ヒトラーから世界を救った男』を挿入するなんて、あまりに安易で安直でひどい!

ヒトラー=悪、(おまけに)チャーチル=善という単純さで話をくくっていいの?)

 

映画なので大衆娯楽消費材なのはわかるけれど、

そういう善悪やどう感じるかの押しつけって、要らない。

 

ありがちな謳い文句の

“○○さん大絶賛”

“全米が涙”

“感動の〜〜〜〜”
も要らない。

 

これって、観客をバカにしてるんじゃない?

何をどう感じるか、そんなことまで指図される覚えはないし、

観客はそこまでバカじゃない、と思うのです。