拾うよりも捨てるほうがむずかしい
現在、3冊の食書籍のディレクション(映画で言うと監督)をしておりまして、
校正(内容チェック)の段階に入ると、目の前の大量なページを日々とにかくこなすこなす、ですが、
なんせ長期戦ですから、それまでは亀の歩みのようにじわじわと進める、という状況です。
私の場合、”どんな本にするのか”裁量を任されていて、
”それはどう本を作るのか”になり、
おそらく私は、軸は濃度を濃くし、ほかは端折る、というやり方が多いかな、と思いますが、
この端折る、つまり捨てる、というのが、拾う、よりもむずかしい。
どうしてもあれもこれも入れたくなっちゃうんですよね
(それでも、思い切る方だとは思うけど)。
3冊進めているうちの1冊は、
思いっきり風通しのよい誌面にしようと思っていて、これってものすごい挑戦。
取材自体はそれなりに踏み込んでいるのだけれど、
エッセンスだけを残そうと思っています。
同業の方にこのことを言ったら、
「3周回った感じですね」という反応。
ああ、なるほど。
ぐらぐらしていると、あれもこれも入れないと、本人が不安になっちゃうんですよね。
でも、これでいく!と腹をくくると
(経験からくるのかもしれないし、性格かもしれないけれど)、
それは一見簡単に作れそうだけれど(逆に、そう見えてほしい気もする)、
“何を残し、何を捨てる”のかに心を砕く。
それにしても、
仕事だとスパッと取捨選択できるのに。仕事場が散らかり放題、ってのは相変わらず。
我ながら、なんだかなぁ。