書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

拾うよりも捨てるほうがむずかしい

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現在、3冊の食書籍のディレクション(映画で言うと監督)をしておりまして、

校正(内容チェック)の段階に入ると、目の前の大量なページを日々とにかくこなすこなす、ですが、

なんせ長期戦ですから、それまでは亀の歩みのようにじわじわと進める、という状況です。

 

私の場合、”どんな本にするのか”裁量を任されていて、

”それはどう本を作るのか”になり、

おそらく私は、軸は濃度を濃くし、ほかは端折る、というやり方が多いかな、と思いますが、

この端折る、つまり捨てる、というのが、拾う、よりもむずかしい。

どうしてもあれもこれも入れたくなっちゃうんですよね

(それでも、思い切る方だとは思うけど)。

 

3冊進めているうちの1冊は、

思いっきり風通しのよい誌面にしようと思っていて、これってものすごい挑戦。

取材自体はそれなりに踏み込んでいるのだけれど、

エッセンスだけを残そうと思っています。

 

 

同業の方にこのことを言ったら、

「3周回った感じですね」という反応。

 

ああ、なるほど。

 

ぐらぐらしていると、あれもこれも入れないと、本人が不安になっちゃうんですよね。

 

でも、これでいく!と腹をくくると

(経験からくるのかもしれないし、性格かもしれないけれど)、

それは一見簡単に作れそうだけれど(逆に、そう見えてほしい気もする)、

“何を残し、何を捨てる”のかに心を砕く。

 

 

それにしても、

仕事だとスパッと取捨選択できるのに。仕事場が散らかり放題、ってのは相変わらず。

我ながら、なんだかなぁ。