書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

何でも手作りがいいとはまったく思わない

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お菓子教室やらないんですか? 料理教室やらないんですか? お店やらないんですか?

私はイギリスの食研究家という顔もあるため、こういう質問を受けることがあります。

 

補足的な意味であれば興味ある。でも、これが第一義となると食指が動かない、というのが今の心境です。

(とはいえ、人生どこでどう転ぶかわからないから、あまりガチガチに自分を縛らず、流れに抗わない、ってのが基本姿勢です)

 

私にとってお菓子や料理を作ることは、理科の実験のようなもので、舌の記憶の再現と資料との照合、加えていかにシンプルで簡単に日本で再現できる(振り幅含め)かのためで、

自分で家事を、手作りしましょうといったイデオロギーではまったくないんですよね。

むしろ、私は、機械化できるところはがんがん機械化すればいいし、AIがしてくれるのであればさらに結構!って考え方。

 

でも、食研究家でレシピも紹介するからでしょうが、“手作り推進”で捉えられるのが、なんだかなぁ、なんですよね。

この手作り信仰、なんとかならないですかねぇ。

 

私自身は、今、経験とカンでやっている、とされているもののほとんどは、

データをとって数値化し、それにより機械化が充分過ぎるほど可能だと確信していて、

そして、それでいい、と思っているのです。

思いっきりそれに徹するのであれば別だけれど、ノスタルジーじゃメシは食えないよ!

 

 

そう、私は手作り推進の片棒を担ぐ気はまったくないし、

私がやりたいのは、情報であって、でも食の場合は食べないと実感できない、なのでラボのごとく実際に作ってみる、なんです。

今のイギリスの食シーン、文化的な側面をはじめ経済やテック系(このあたり、本当におもしろい!)、ひいては社会状況も欠かせない事項なので、大学で研究する、とか、情報研究所で調査する、とか、そういう話なら俄然身を乗り出すんだけれど。