書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

体験に基づくこと言葉って、説得力があるなぁ。

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ああ、そうか!

 

頭ではわかっていたつもりでも、自分の体験を通したり、人の話を通じて、初めて腑に落ちることがあります。

 

ある日、1970年代に喫茶店で働いていた人と話したときのこと。

「そういえば、喫茶店のコーヒーゼリーを集めた本があるんだよ、店によって違いがあってね」

「ああ、昔の喫茶店はそうね。店で作ってたから、そりゃ、違いも出るでしょ」

「ん?」

「今みたいに既製品が出回っていたわけじゃないから、店で作らざるをえなかったの。意識したわけじゃないだろうけど、そりゃ違いは出てくるよね」

「ああ、そうか」

「作るのって、やっぱ手間がかかるのよ。既製品が出回るようになり、チェーン店もでき、今だとコンビニでもコーヒー飲めるし、缶コーヒーもおいしくなったでしょ。あと、昔は今みたいに娯楽がなかったから、喫茶店でゆっくりするのもそのひとつだったけど、今は違うし。そんなこんなで喫茶店がなくなっちゃったんだよね」

 

 

メディア関連の人じゃないし、経済に明るいわけでもない。でも経験に基づく言葉って含蓄がある。

なんとなくぼんやり感じていたことが、がぜん説得力をもって畳み掛けられた気分。

 

でも、今、かつての喫茶店とは違うけれど、カフェやアルチザンコーヒーのような形で、ある意味振り戻しが起こっているのはおもしろい。

あっ、でも、こーゆーの喫茶店だけじゃない、か。

なんでもそーだよね、振り子のように行ったり来たりしながら、でも進んでいっている(のかな?)、だから以前とは同じではないのよねね。