書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

思いがけないうれしいことが糧になる

f:id:ricorice:20170729145046j:plain

メディアの仕事に関わるようになって、

書籍にしろ、ネットメディアにしろを眺めるのは、大なり小なり仕事の側面があります。

資料用だったり、自分の引き出しを増やしたり。

純粋にじっくり読んで楽しむ、ってのは、一般読者だからこそできることで、

仕事が絡むとそうはいかない。

 

雑誌も同様。

仕事として、食関連はじめ、今の情報を俯瞰で知るためで、

それはありつつも、いち読者として素直に楽しめるものってほとんど、ない。

 

とはいえ、まったくないわけではなくって、

2000年代であれば、「X-knowledge home」と「西の旅」

(「X-knowledge home」はほとんど買ったなぁ。私は“brutal”と評されるモダン建築が好きなのです)。

今も、となると、「TRANSIT」と「WIRED」。

どちらも創刊の頃から、ときどき買っている代物。特に「TRANSIT」は購入率が高い。

 

雑誌の定期購読はしないんですよ。

それだと買うことに重きが置かれて、ほっといても届くので、読まなかったりする。

アナログだけれど、本屋さんでパラパラめくって、おもしろそうだったら買うパターン。

 

「TRANSIT」のこの号は特集を知って、欲しいな、と思いつつ買い忘れ、

2016年秋、朝食を食べに訪ねたロンドンのカフで店員さんと喋っていたら、

「うちの店、こないだ日本の雑誌に載ったんだよ」

(そのお店が言っていたのが、「TRANSIT」だったかどうかは不明)

と言われ、はっと思い出したものの、帰国して、またしても忘却の彼方に。

 

先日、ふと記憶の奥底から蘇り、発刊されて1年近く経ってやっと購入。

私が買おう買おうと頭の片隅にあったその号、「TRANSIT」33号の特集は、

“美しきヨーロッパ スイートな旅をしよう”。

 

 

ぱらぱらめくっていてびっくりしたよ!

参考文献に自分の著書『イギリス菓子図鑑』が載っている、しかも最初に!

(最初にあるのは重要度順ではなく、あいうえお順、でたまたまです、念のため)

メディアに携わっている人間のクセで、ついついクレジットも見ちゃうんですが、

まさか自分の著作と名前にお目にかかれるとは!

 

自分が愛読している雑誌に載ったからうれしい、

ってのはもちろんあるのですが、

こんな情報が欲しかった!という世の中に役に立つものを作りたいんです、

制作側の立場としては、私の場合。

(余談ですが、自分の本を出したい、って人はエゴである場合はほとんど。

 そんなの、誰が読みたい?

 お金を払って買ってもらう価値、本だと情報になりますが、

 それは世の中が欲しているものでないと意味がないのです)

ricorice.hatenablog.com

 

なので、こうして参考文献に使ってもらった、ってことは、

世の中の役に立つ情報を提供できた証し。

なによりも、それがうれしかったな。

 

こういうことがあると、自分の立てた企画、そして制作物が間違ってなかった、

という評価になるわけで、

そういうことをこれからもやっていきたい、大きな励みになります。