書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

地方に移住ってけしかけるけど、移住じゃなくてもいい

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“地方へ移住しましょう”の攻勢がとめどないですね。

そこでウリとして掲げられているのが、

・空気がきれい

・自然が豊か

・食べ物がおいしい

って田舎ならどこでも(ある程度)同じであろう、似たり寄ったり。

 

 

移住には2パターンあって、

・そこの土地でないとできないこと

・どこでもいいけど、ベースとなる場所の確保
があります。

 

前者は、たとえば農業とか漁業とか飲食店とか宿泊施設とか。
その土地あって初めて成立するもの。

これはその土地にどっぷり関わる形となります。

 

後者は情報系とか。
私なんかいい例。
書籍や雑誌、ウェブサイトのダイレクション・執筆、食ビジネスのアドバイスといった仕事で、現在、住まいこそ福岡ですが、仕事の大半は東京。
クライアントさんはじめ、恊労する人たちも、ほとんどが東京。

 

なので、通常の目の前の業務は住居のある福岡で行っていますが、

顔をつきあわせる大きな打ち合わせや撮影やロケハンなどなどのため、

1〜2カ月に1度のペースで東京へ。

ネットや交通網の発達で、(十分かどうかはともかく)可能なのです。

 

なので、私は移住という感覚はいまだになく、

生活の拠点は移したけどね〜、です。

 

 

この拠点の転移で大事になってくるのは、

・移動のしやすさ(交通網の発達)

・ネット環境
になってくるのですが、このあたりってアピールされない。

前者のどっしり住む、ばかりに照準が定められている。

いや、今や第一次産業だってこういうの必要よ。

農作物を作ったあと、どう売るか、どうPRするか、まで含めて仕事だから。

 

事実、自分が東京を離れようとしたときに、
いくつか候補をつらつらと検討していく中で(本当は海外がよかった!)、

最終的に福岡にした決定打は飛行場のアクセスのよさだったわけで。

 

 

移住の大きな狙いって、要はそこに住居なり事務所なりを構えて、税金を納めて欲しいってことでしょ。

であれば、前者だけでなく、後者も取り込めばいいのにね。

後者の方が身軽だし、需要は実はこっちの方が多いんじゃないかって気もします。

 

 

あと、いいことばっかりアピールされてもね〜。

住む、仕事をする、ってのはきれいごとばかりじゃないから。

(そんなにいいこと尽くしだったら、とっくに田舎に人があふれかえっている)
合う/合わないはあるし。

こういう人は向いてません!ってのもあらかじめ言っといた方がいいんじゃないかな〜。