書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

“売らんかな”の押し売りはしない

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ひと昔前はそれでよかったのでしょうが、

今はあからさまな“売らんかな”では売れないんですよね〜。

仕事でそういう話を見聞きし、感覚としては理解していたことが、

実際に体験すると、本当にそうなんだなぁ、と納得します。

 

私の場合、扱っているのが情報で、メディアの仕事が大半なため、

直接自分のお客さんと関わることって、とても少ないんですよね〜。

そんな状況なのですが、

イギリスの食研究家として講座やイベントで自著をご紹介したり、

インポーターさんのお手伝いでモノを売ったり、

ってことがたまにあります。

すると、しみじみ感じるんです、“売らんかな”ではモノは売れないって。

(よくよく記憶を手繰ると、新卒で入った会社での仕事や学生のときのアルバイトも経験として重要だったなぁ)

 

だってね、今の時代、いいものであふれているでしょう、悪いものを探すのが大変。

そのなかで「いいですよ!」「おいしいですよ!」「お買い得!」などといった常套句だけではまったく売れないんです(よっぽど突出したものがあれば別ですが)

 

そこの秘められたストーリーとか、世に出るまでの背景とか、なぜ、惚れ込んでいるのかの情熱とか、「こういう困ったときに使えるんです」とか、そういったことをちゃんと見せ、“売る”ではなく“提案”する。

もしお客さんの求めているものと違うな、と思えば、ほかを案内するぐらいの懐の深さ。

これが結果として、“売れる”につながるんですよね〜、“売る”ではなく。

 

 

これ、対面だけではなく、SNSでも一緒です。

ただ新メニューやアイテムのスペック(商品名とか値段とか)だけを投稿しても、それって押し売りにしかならない。

意外と忘れがちなんだなぁ。

やはり目の前にお客さんがいる、その気持ちで取り組まないと、かえって残念な印象をもたれます。