書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

「アルネ」のこと

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イラストレーターの大橋歩さんが自分メディアとして出された雑誌「アルネ」が創刊されたときのことはよく覚えています。

イギリスから帰国して、実家に3カ月ほどリハビリでいて、そのあと再度東京で暮らし始め、1年ほど経った頃でした。

 

なんでよく覚えているか、っていうと、

私はネットを始めたのが1995年と早く、以降自分メディアが欲しいなぁ(=ウェブサイト)とぼんやりずっと思っていたことと、自分にしかできないことって何だろう?ってうっすら考えていて、また、一番大きかったのは、10歳近く歳上で私のことを非常にかわいがってくださったフリーランス同業者の方が、その方が扱っているジャンルがユースカルチャーというのもあったかと思うのですが、それまでのフリーとしての仕事を減らし、会社勤めをされるようになったんです。

「まあ、若くないから(当時40歳を過ぎたばかり)感覚が違ってきて、ってことかな? 発注する方との年齢差も広がって、仕事しづらいだろうし」と。

 

この発言は、私にとって非常にショックで、ロールモデルを失ったように感じられました(今はそう受け止めないと思いますが、当時はそう感じたんです)。

 

 

で、「アルネ」。

うろ覚えですが、大橋歩さんが創刊のきっかけを、「発注する方が段々若くなり、発注すらしてもらえなくなるかも。かといって、自分自身は別段年齢を感じないけれど、挑戦的な仕事が来なくなる。一方で、来る仕事は制約が多くなって、なかには、こんなことまで、ってのもあって、なんだか楽しくないの。自分がやりたいことと受注される仕事との間にギャップを感じ、だったら自分で作りたいもの作ろうって思って始めた」と。

 

なんか、希望をもらったように感じられたんですよ。

大橋さんがうちの母よりも歳上ってことも勇気につながりました。

 

そうよね、やりたいこと自分で作ればいいじゃない。

じゃあ、私になにができる?

 

 

私の場合は、イギリスの食を突き詰めたい! 自分ももっと知りたい! もっとやりたい!

自分でちょこちょこやっていたけれど、メディアにいると、一流の人をいっぱい見るでしょう、そうでない人もみるでしょう、“まだまだ、まだまだ”なんて思っていて。

数年後、「ウェブサイトもいいけれど、まずはのとっかかりでブログやれば? ブログでできることも多いよ」と言われ、ようやくアウトプットにこぎつけ、でも、“まだまだ”の意識が頭のなかをがっちり占めていたから、恐る恐るで、がっちりやるようになるのは随分後。

 

 

「アルネ」は2009年にいったん終了したけれど、昨年2016年秋にもう1回発刊。

お茶飲みながら、ようやくぼんやり眺めていたら、そんなことを不意に思い出し、ぐぐっとアクセルが入るわけではないのだけれど、じわ〜とエネルギーが満ちてきます。

Arne もう1回

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