書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

日本の食品や料理って本当においしいの?

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ここのところ、毎年秋に滞在するのが通例となった私の渡英。

イギリスの食の最前線とリアルな状況をチェックするので、人に会ったり講義やイベントに出向いたり、そして現地でいろいろなものを食べたりします。

 

そして、イギリスに行って最初の(まともな?)食事でいつもしみじみしてしまうのが、

「心底おいしい」ってこと。

 

“おいしい”というのは個人の嗜好によるところが大きいので、分かりやすく言うと、

・パンはしっかり小麦だったりライ麦だったりの風味と味がする

・バターやヨーグルト、乳製品などがコクがあり、乳の匂いがする(牛乳はちゃんとミルク色をしていて、あ〜、だからミルク色なんだと妙に納得)

・野菜に苦味がある/果物に酸味がある

といったところ。

実際に調理されたものに関しては、それこそ好みに拠るのでここでは言及を控えますが、上記のこれらに共通して言えることは

・素材の味、大地の風味がちゃんとする

ってこと。

 

以下、あくまで一般に流通しているものについていうと、

日本のパンってどう? 小麦や穀類の風味がとにかく弱い。大半は噛みごたえってものに程遠いし。

日本の乳製品は? 牛乳やヨーグルトは水っぽくって、さらさら。コクにはほど遠い。バターも、とにかく風味に弱い

日本の果物や野菜は? 甘さばかりが強調されて、深みや味わいに欠ける。生のサラダで食べると淡く、(加熱)調理すると存在感がなくなる

っていうのが、私の日本の食品に対する印象。

ちなみに私の友だちのイギリス人は、「日本のパンはやわらかくって味がしない」と嘆いてたことを付け加えておきます。

 

もちろん、いいものもありますよ〜。

でも素材の力、という点では圧倒的に弱い。

あまりに規格や平均的な味、そして見た目が揃うことに拠り過ぎて、改良し過ぎた結果じゃないのかなぁ。

 

でもね、世間一般では、

“日本の食こそ素晴らしい、世界一”

なんて言ってるでしょ。これって何を基準にしてるの? 自分が食べて慣れ親しんでいるから、ってだけじゃないかしらん。

こういう根拠のない、自画自賛は疑ってかかった方がいいね。