書くこと、編むこと、伝えること

編集者、ディレクター、ライター、情報発信サポーター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けするメディアや仕事のあれこれ

自分の本を出したら何が起こったか?

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2016年も終わり、ということで、今年、別ブログ(このブログを開設する前から続けている、もうひとつのブログ(↓))でよく読まれた記事を再掲載します。

ricorice.exblog.jp※時制のみ、現在に調整していいます。

 
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(2016年3月21日(月))

 

2015年春、自著『イギリス菓子図鑑』が書店に並び、オンラインでも発売されるようになりました。
それまで私は、本や雑誌を制作する立場にあり、自分が表に出る立ち位置ではなかったのに、いろんなタイミングが重なったこと、それこそブログで発信し続けていたことが大きなきっかけとなって、自分の本を出す企画が持ち上がりました。
映画に例えると分かりやすく、それまで製作スタッフの一員だったのが、役者として主役を張る役割も担う、といったところでしょうか。

イギリス菓子図鑑 お菓子の由来と作り方: 伝統からモダンまで、知っておきたい英国菓子104選




ご存知の方も多いように、出版不況がいわれて久しい(ここでは割愛しますが、個人的には、出版でなくメディアと捉えるなど、視点をちょっと変えるだけでも突破口はいくらでもあると思っています)。
自分の書いたものを売る場合、もはや紙としての出版だけでなく、電子出版、インターネットの課金コンテンツ、メールマガジンなど、さまざまなやり方があります。
私は紙媒体の世界をメインにずっと仕事をしてきてはいますが(今もです)、紙にこだわりがなく、用途によって使い分ければいいと考えています。
イギリス菓子図鑑』の場合は、内容を考えると、紙媒体、そして書籍でまとめるのがふさわしい、と判断し、出版にいたったわけです。


では、実際に自分の本を世に送り出したあとに何が起こったか。
私の場合をケーススタディとして開示したいと思います。

1. 自分の活動を紹介しやすく、かつ信用を得やすくなった
メリットとしてはこれが一番大きいのではないでしょうか、私に限らず。
営業ツールとして大きいことを実感。
そこには、出版へのハードルが高く、ちゃんとしたものでないと本は出せないというパブリックイメージが強いことを、ひしひしと感じます。

2. それまで知らなかった人にも、自分の活動を届けやすくなった
恒常的に行っているブログでの発信(&FBでの拡散)、オンラインメディアへの寄稿などは、インターネットに接続していないと確認できないわけですが、書籍の場合は、書店で目にとまることがあります、しかも全国各地で。
講座やイベントの場合も、当然エリアを限定するため、狭く深く、ですが、書籍の場合は広く不特定の人に、というのが可能です。
出版をきっかけに、ブログやFBページを訪問くださった方が多いことが、それを物語っています。

3. いいこともいやなことも可視化しやすくなった
私はこれまでの経験から、それがなんであろうと、受け入れてもらえることもあれば、拒絶されることもあり、その割合は、
好き:2〜3割
嫌い:2〜3割
どちらでもない:半数
かなぁ、と捉えています。
そう、なにをやっても嫌う人は嫌うのです。
ただ、日常生活だと、SNSの発達によりオンラインでわかりやすくなったとはいえ、 “嫌われる”という行為はなかなか見えづらい。
それが、作品として世に出た場合、それは公共性を伴い、見ず知らずの人に届けられ、そして手にした人たちがジャッジをくだし、今やそれを公言することも可能になったゆえ、可視化できるようになりました。

私のスタンスは、一度世に出たものは、すでに私の手元を離れ、その作品は新しいひとつの存在となるため、一切関与しません。
それがどう受け止められようと、制御できないから。
だから、いいことも悪いことも見ません。
見ていいことなどひとつもないからです。なのでエゴサーチもしない。
いいこととはいえ、本人の意向と沿っていないこともある、悪いことのなかには単に言いがかりも少なくない。
人間ですから見れば心が揺さぶられますし、そんなことに自分の時間も感情も搾取されるのは、私にとってムダ以外のなにものでもありません。

わざわざ「酷評されてるよ」と電話をかけてきた人がいました。
「そういうの、見ないから」と返しましたが、こういう人の相手をするのも、時間のムダです。
本人がいくらそういう外部の声をシャットアウトしようとも、ずかずか入られることはあるんだなぁ、と学習しました。

4. ねたみ、そねみ、ひがみで攻撃される
3にも通じますが、、、
説明不要ですね、そういうことです。
何をやってもこういう人は一定数いるので、そんなもんだ、とスルーするだけです。

5. 自著を出すことにはエリアの特性が表れる
現在、私は福岡在住で、この地でよく言われたことは2つ。
・開口一番「私も本を出したいんです!」
なかには、出版はじめ今のメディアの状況を熟知しているはずのITプランナーという肩書きの人までそういうことを言ってきたので(戦略を練っての上、ではなく、ごくごく素直に)、いかに本が強力なツールであるのかを見た思いがしました。
・「自費出版ですか?」
ずっと商業出版に関わって、自著も商業出版であって、自費出版という発想がまるでなかった私には、この言葉も驚きでした。
勘違いしないで欲しいのは、どっちがいい悪いではありません。自費出版がこれほど浸透している事実に驚愕したのです。

福岡という地のみで「私も本を出したいんです!」「自費出版ですか?」と発する人が多いということは、このエリアはそれだけ本を出したい人がたくさんいて、その人たちに向けた自費出版が盛んなのだ、ということを知る非常によい、生きたマーケティングになりました。


いずれ別記事で綴りたいと思いますが、「自分の本を出すには覚悟が必要」ということがいえるかと思います。
あっ、最後にとっても大事なことを。
お金儲けが目的であれば、これほど割に合わないことはない!ということも付け加えておきましょう。

 

 

自分の本を出したら何が起こったか? : イギリスの食、イギリスの料理&菓子