書くこと、編むこと、伝えること

食のダイレクター、編集者、ライター、イギリスの食研究家“羽根則子”がお届けする仕事や日常のあれこれ

もはや売るのはモノじゃないだなぁ

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これって、さんざん言われていることだけれど、実際にモノを売る場に立つと実感します。

 

通常、私が売っているのは、目に見えないもの、編集やライティングの技術だったり、イギリスの食についての情報だったり、です。

これらは直接ではなく、たとえば本だったり雑誌だったり商品だったりを通して、買う人には届けられます。

なので、実のところ、実際に直接お金を払ってもらうってことにほとんど遭遇しません。せいぜい講座やイベントぐらいかな〜。

でも、講座やイベントも、かっちりと主催の人がいらしたら、ワンクッション入るんですよね。

 

 

ときどき、私が愛用している商品を取り扱っている知り合いのインポーターさんの催事の手伝いや、イベントで私のアイテムを出すことがあります。

これらでは、モノを売るので、当然、お金を受け取ります。

 

これって、本当に重みがある。

そして、売れるとやっぱりうれしい。

それはお金が入るから、ってこともあるけれど、自分が選んだモノの価値を、購入という行為を通して認められるから。

 

で、モノが売れるってどういうことか、っていうと、その商品がいいってことなんだけれど、今や粗悪品って、基本ないでしょ。

ってことは、単に、いいですよ、とか、おいしいですよ、なんてことじゃ売れないわけです。

 

だって、いまや、いいモノ、おいしいモノであふれているから。

実際に自分がその商品を体験していいなと思ったことや、その商品に込められたストーリーとかを説明すると、興味をもって耳を傾けてくれる。

そして、共感して、共鳴して、共有したいから、それが、今のモノを買うって行為なんだなぁ。

 

“もはや売るのはモノじゃない”

よく言われることだけれど、体験すると、改めて本当にそう思うのです。

 

 

先日もイギリスの菓子講座で、資料用にイギリスのキッチン用品をお見せしたところ、

欲しい!という声が多く、

それもやっぱり、体験を共有したいってことなんだなぁ、と感じ入ったのです。